日本で公開された時の名前は「ミラクル7号」。
路上販売のぬいぐるみ屋さんで見かけた、ふわふわの白い毛のいっぱい生えた丸
い物体になぜか緑色のスライムみたいな、いかにも「やっつけ仕事」的な胴体が
くっついた妙なキャラクター。
顔だけ見るとかわいいのだが、胴体がなんかキモイ。
変なぬいぐるみだなぁ・・・程度にしか思っていなかったのだが、映画館の前を
通りかかった際に、看板を見かけて、映画のキャラクターなんだ、と判った。
「少林サッカー」「功夫」の周星馳が看板に居たから面白そうな映画だな、と
思っていた。
そのうち観ようと思いつつも、仕事や子育てで忙しく、すっかり忘れていた。
最近、大型の液晶ディスプレイを買ってから、DVDの映画を観る機会が増えた。
仕事帰りに寄ったDVD屋さんで、ハリウッド映画のDVDを物色していると、長江7
号を発見。
日本語音声・字幕のあるやつだ。
さっそく家に帰って観賞。
舞台は寧波。周星馳が演じるのはビルの工事現場で働く工人。妻を病気で亡く
し、一人息子を私立学校へ通わせるため毎日必死で働くお父さん。廃墟のビルの
一室を勝手にリフォームして住んでいる。
日本に居る人たちにはぴんと来ないかも知れないが、中国ではこの舞台設定はも
のすごくリアリティがある。大連市内や開発区には、こういう生活をしている人
たちはたくさんいる。
「少林サッカー」「功夫」でおなじみのCGを駆使した漫画やアニメのようなおお
げさなアクションはこの映画でも健在で大いに笑わせてくれるのだが、中国の農
民や工人の生活を知らない外国人には単なるよく出来たB級映画に過ぎないかも
知れない。
中国で生活している私にとって主人公たちの生活の様子は、まさしく現在の中国
そのものであるという実感がある。中国人の方ならなおさらだろう。
親たちは子供に希望を託して自らを犠牲にして必死に働く。子供もまた親の期待
に応えようと一生懸命勉強する。学校では差別やいじめがある。この映画を観る
中国人の親子は「そうだよ。そうなんだよ。」という強烈な感情移入ができる。
ストーリーは単純。何のひねりもない。だけど笑い有り、涙有りで楽しませてく
れる。
中国人のハートをがっちり掴んで離さない仕掛けが盛りだくさん詰め込まれてい
るのだ。
主演した周星馳は単なるアクションスターではない。脚本・制作・監督もやって
いる。
まさしく成龍(ジャッキー・チェン)の後継者だと思う。
次はどんな映画を作っているのだろう。楽しみである。
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